インフラエンジニアとは
インフラエンジニアとは、ITサービスやシステムを動かすために必要なインフラを構築・保守するエンジニアのこと。具体的には、データの保管などを行う「サーバー」や、サービスの利用者とサーバーを繋ぐ「ネットワーク」などの管理を行います。
普段、私たちが利用しているSNSやインターネットショッピングサイトなどのサービスは、ITインフラが整備されていることで利用できているのです。
システムエンジニアのようなソフトウェア開発は行わないため、プログラミングに触れる機会は少ないでしょう。
インフラエンジニアのキャリアパスで重要な2点
インフラエンジニアのキャリアパスを構築する上で、重要なポイントは以下の2つです。
インフラエンジニアのキャリアパスで重要な2点
- 「どのような経験を積むか」を考える
- キャリアアップ転職の際には情報収集に力を入れる
目指しているキャリアパスを実現するためには、それを実現させるための経験を積む必要があります。たとえば、将来的にマネージャーになりたいのであれば、何名かのチームをまとめるといった経験が必要となるでしょう。
どうしても経験が積めない場合は、自分で勉強をしてスキルを磨く必要があります。
「なんの経験を積めばいいかわからない」という場合は、まずは日々の業務から「自分はどんなエンジニアになりたいのか」を考え、目標を立てることをおすすめします。
目標とするキャリアパスから逆算することで、勉強すべきことや積むべき経験が見えてくるでしょう。
また、将来的にキャリアアップ転職をする場合は、業界や企業についての情報収集が欠かせません。
情報収集が不十分だと、「応募先の企業で理想のキャリアを積めるか」といったことが判断できないからです。
効率的に情報収集を行いたいなら、IT業界に特化した転職エージェントや、インテリゴリラなどの転職サイトを利用しましょう。
インフラエンジニアのキャリアパス
インフラエンジニアのキャリアパスとして、以下6つの選択肢が挙げられます。
インフラエンジニアのキャリアパス
- マネージャー
- スペシャリスト
- ゼネラリスト
- 異業種
- ITコンサルタント
- セキュリティエンジニア
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
キャリアパス①マネージャー
マネージャーとは、プロジェクト全体の管理や、ITインフラの管理などの業務を行う職種です。
ITインフラの設計や構築などの作業は行わず、スケジュールや品質管理などを行います。主に管理業務を行いますが、技術者から質問を受ける機会もあるため、サーバーやネットワークに関する知識は持っておきましょう。
また、社内のプロジェクトをまとめるだけではなく、クライアントへの交渉や提案を行う機会もあります。そのため、コミュニケーション力や提案力といったスキルも必要です。
「チームをまとめるのが得意」「調整役として活躍した経験がある」といった方は、マネージャーを目指してみても良いでしょう。
キャリアパス②スペシャリスト
スペシャリストは、ある特定の分野に精通している、技術力に特化したエンジニアのことです。
「特定の分野」の例としては、ネットワークやセキュリティ、クラウドなどです。それぞれの分野に特化した専門的なスキルを活かし、インフラ設計や構築を行います。
今後も需要が伸びると予測されているクラウド分野の技術を身につけることで、将来性のあるエンジニアとして活躍できる可能性があります。
「インフラエンジニアとしての技術を追求したい」という方は、スペシャリストが向いていると言えるでしょう。
キャリアパス③ゼネラリスト
ゼネラリストとは、技術的な知識を活かしつつ、マネジメント業務をメインに行う職種のことです。
スペシャリストとの違いは、「幅広い知識に加えてマネジメント力も必要」という点です。
インフラ設計や構築といった業務だけではなく、チームのマネジメントやクライアントとのやり取りも行うため、マネジメント力が求められるのです。
キャリアパス④異業種へ
インフラエンジニアから、Web系エンジニアや社内SEなどの異業種への転職も可能です。
ただしWeb系エンジニアに転職する場合は、プログラミングスキルやWebシステムに関する知識が必要です。
まったく知識のない状態では転職が難しいため、専門スキルが求められる業種に転職する場合は、自ら勉強してスキルを身につける必要があります。
キャリアパス⑤ITコンサルタントへ
「インフラエンジニアの知識を活かして企業の経営をサポートしたい」という方は、ITコンサルタントもおすすめです。
ITコンサルタントとは、IT技術を活用して企業が抱える課題を解決する職種です。
近年は、サーバーやネットワークをクラウドに移行する企業も増えているため、インフラエンジニアで培った知識が活かせるでしょう。
コンサルタントは転職難易度や求められるスキルレベルは高いものの、平均年収も高い点が特徴です。経済産業省の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」によると、ITコンサルタントの平均年収は約929万円とされています。
[参考:https://www.meti.go.jp/press/2017/08/20170821001/20170821001-1.pdf]
キャリアパス⑥セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアとは、その名の通りシステムのセキュリティ対策に特化したエンジニアです。
主にセキュリティ面を考慮したシステムの設計や開発、運用などを行います。そのほかにも、企業に対してセキュリティシステムの提案や企画を行うこともあるため、「セキュリティコンサルタント」と呼ばれることも。
さまざまなサイバー攻撃からITインフラを守るためにも、セキュリティに関する高度な知識が求められます。
インフラエンジニアの業務でも、セキュリティを考慮したネットワークの設計・構築を行う機会があるため、それらの知識が活かせるでしょう。
インフラエンジニアの将来性とは?
インフラエンジニアは、今後も将来性のある職種と言えるでしょう。
近年はクラウドサービスやIoTといったITサービスの普及が進んでいるため、ITインフラの需要は将来的にもなくならないと考えられるためです。
ネットワークを利用したITサービスを動かすためには、基盤となるインフラの構築・保守が不可欠です。
また、近年は社内サーバーやネットワークをクラウドに移行している企業も増えています。そのため、「AWS(Amazon Web Services)」や「GCP(Google Cloud Platform)」といったクラウドサービスの勉強をしておくと、将来性のあるエンジニアとして活躍できるでしょう。
インフラエンジニアの仕事内容
インフラエンジニアの仕事内容は、ITインフラの設計や構築、ネットワークが正常に稼働し続けるための運用などです。
ここではインフラエンジニアの仕事内容について、詳しく見ていきましょう。
インフラエンジニアの仕事内容
- サーバーやネットワークの設計
- サーバーやネットワークの構築
- サーバーやネットワークの運用
サーバーやネットワークの設計
ITインフラを構築する際には、まずクライアントからの要望をヒアリングします。
ヒアリングの結果をもとに要件定義を行い、サーバーやネットワークの設計作業を行います。
設計を行う際は、サーバー・ネットワーク機器の選定やセキュリティ要件の策定、運用を見越した設計を行わなければなりません。そのため、ITインフラに関する幅広い知識が求められるでしょう。
またクライアントから要望を引き出し、条件を満たす設計を行うためには、高いコミュニケーション力も必要です。
サーバーやネットワークの構築
サーバーやネットワークの設計が完了したら、実際に構築作業を進めていきます。
基本的にはクライアント先に足を運び、ネットワーク機器の設置や設定、構築などを行います。機器の設置や配線といったハードウェアの設定だけではなく、OSなどのソフトウェア設定も行うのです。
構築作業が終了したら、次に行うのは動作確認や負荷テストです。テストの結果に問題がなければ、クライアントに納品しサーバーやネットワークを稼働させます。
構築作業に誤りがあると、稼働開始後の不具合に繋がるため、慎重に作業する必要があります。
サーバーやネットワークの運用
サーバーやネットワークの稼働が始まったら、安定して稼働し続けられるよう運用業務を行います。
ITインフラは24時間365日稼働し続けることが前提であるため、チーム体制でのネットワーク監視を行います。
インフラが停止したり、不正アクセスなどの問題が発生した場合は、すみやかに対処しなければなりません。
未経験からインフラエンジニアを目指す場合は、この運用・監視などの業務から経験を積むケースがほとんどです。その理由は、運用・監視業務にはマニュアルが用意されているケースが多く、未経験者でも担当しやすいためです。
不具合などが発生した場合はマニュアルに沿った対応を行い、解決できない場合は、復旧できる保守スタッフに状況を説明し、対応してもらいます。
設計・構築と比べて専門的なスキルが求められる機会は少ないものの、クライアントや社内チームへの報告があるため、コミュニケーション力が求められるでしょう。
インフラエンジニアの平均年収
インフラエンジニアの平均年収は、約653万円です。この数値は、経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」より算出した年収です。
その他、職種ごとの平均年収は以下の通りとされています。
インフラエンジニアに関連する職種の平均年収
- IT運用・管理:608.6万円
- IT保守:592.2万円
- IT技術スペシャリスト(データベース・ネットワーク・セキュリティなど):758.2万円
[参考:https://www.meti.go.jp/press/2017/08/20170821001/20170821001-1.pdf]
上記の平均年収を見ると、運用・保守といった職種よりも、スペシャリストのほうが年収が高いことがわかります。
インフラエンジニアとしての経験を積みスキルを身につければ、将来的に年収アップも狙えるでしょう。
インフラエンジニアの資格とは?
未経験からインフラエンジニアになる場合、資格が必須とされるケースは少ないです。
しかし、資格を持っていることで自身のスキルをアピールできるため、勉強も兼ねて取得しても良いでしょう。
インフラエンジニアの資格で代表的なものとして、以下3つが挙げられます。
インフラエンジニアの資格
- LPIC(エルピック)
- CCNA(シーシーエヌエー)
- CCIE(シーシーアイイー)
1つ目のLPICとは、カナダを本拠地とする「LPI(Linux Professional Institute)」が運営している資格。
世界標準の認定資格であり、正式名称は「Linux技術者認定試験」です。インフラエンジニアが触れる機会の多い「Linux」というOSに関する資格であるため、取得しておいて損はないでしょう。
LPICには難易度のグレードとして「レベル1~レベル3」までが用意されており、未経験であればレベル1から挑戦することをおすすめします。
2つ目のCCNAは、アメリカの大手ネットワーク関連機器メーカー「シスコシステムズ社(Cisco Systems)」が認定している資格。
ネットワークエンジニア向けの資格として知名度が高く、ネットワークの構築や関連機器についての知識が問われます。
インフラエンジニアにとってもネットワークの知識は不可欠であるため、「ネットワークの知識が不十分」と感じているなら、取得することをおすすめします。
3つ目のCCIEも、「シスコシステムズ社」が認定している資格です。
今回紹介する資格の中でも、特に難易度が高い資格であるため、初心者やインフラエンジニア未経験者にはおすすめできません。
難易度が高い分、インフラエンジニアとしてのレベルの高さを証明できる資格であるため、キャリアアップを狙う際などに取得しておくと良いでしょう。
インフラエンジニアが勉強すべきこと
インフラエンジニアが勉強すべきこととして、以下2つが挙げられます。
インフラエンジニアが勉強すべきこと
- プログラミング
- 英語
- 「Windows」や「Linux」などのOS
システムエンジニアやWebエンジニアと比べると、インフラエンジニアはプログラミングに触れる機会は少ないです。
しかし、近年はクラウドサービスを利用した、サーバーやネットワークの仮想化が進んでいます。
サーバーやネットワークの仮想化により、ITインフラの構築や設定変更をプログラミング作業で行う機会が増えているのです。
勉強する手段としては、書籍での勉強やスクールに通うなどの選択肢があります。
なかにはインターネット上に無料公開されている教材もありますので、費用をかけたくない方はそちらがおすすめです。
また、サーバーやネットワーク機器のマニュアルは、日本語だけではなく英語で書かれている場合も多いです。
もちろん必須ではありませんが、英語力があればマニュアルをスムーズに理解できます。
「未経験からインフラエンジニアになりたい」と考えているなら、「Windows」「Linux」といったOSの知識も勉強しておきましょう。この2つのOSは、インフラエンジニアの業務で触れる機会が多いです。
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今回は、インフラエンジニアのキャリアパスや将来の年収、仕事内容などについて解説しました。
近年は多くのITサービスが普及しているため、インフラエンジニアは将来性がある職種と考えられます。
現在インフラエンジニアとして働いており、将来的にも活躍し続けたいなら、プログラミングや英語などを勉強しておくと良いでしょう。
未経験からインフラエンジニアを目指しているなら、サーバーやネットワークはもちろんLinuxなどのOSについても勉強しておくことをおすすめします。
インフラエンジニアへの転職を考えている方は、転職エージェントの利用がおすすめです。
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